私が漢方の勉強を始めてまだ間もないころ、それはずいぶん
昔の話ですが、私的にはとっても貴重な体験でしたので今でも
忘れずにいることがあります。
それは冬のとても寒い日でした。
朝からゾクゾクと悪寒がして首肩背が凝り、気分が良くありま
せんでした。これは風邪ですよね。
傷寒論には、太陽病、項背強ばることシュシュ、汗無く悪風する
ものには葛根湯を使うとあります。
さっそくお湯を沸かし、葛根湯を服用しました。
約1時間後、トイレに行きたくなって小便をしました。
気持ちよくたくさん小便が出るのと一緒に首や肩のこわばりも
まるで流れ出るように取れていったのです。
一服でです。念のためもう一服服用しましたが、これでスッキリ
改善しました。
風寒の邪が太陽膀胱経の流れを邪魔したため、津液の流れを悪く
したので筋脈が滋養されず、首肩背がこわばったのです。
葛根湯は太陽膀胱経を桂皮・麻黄で温め、発汗して寒邪を除くの
ですが、この時は発汗でなく小便で除去された貴重な体験でした。
葛根湯は風邪薬として多用されますが、どんな時でも葛根湯を
つかうわけではありません。インフルエンザには無理です。
普通のカゼで風寒感冒に使います。寒気がして首肩背がこわばり
汗が出ていないものにつかいます。
この頃は吐き気や下痢・胃の不快感などの消化器症状になる方が
多くいらっしゃいます。
症状により処方が違いますのでぜひご相談ください。